<短編コラム>アシュトン・ゲートでの"空中分解"を経て、スワンズは強くなった
2019年2月2日、アシュトン・ゲートに向かうスワンズは、明らかに上昇気流に乗っていました。
年末のホームゲーム、ウィルフリード・ボニーのPK失敗で勝ち点を落としたアストン・ヴィラ戦以降、7試合負けなし。直前のバーミンガム戦でもATに追いつき、プレミア復帰への希望は膨らむ一方でした。
スワンズの11人は、ムルダー、ロバーツ、ホールン、ヴィッカース、ジョン、フルトン、グライムス、ダイアー、バイアーズ、セリーナ、マクバーニー。控えにはベンダ、ナルシン、アソロ、マッカイ、ノートン、リチャードソン、ハリースの7人。ジェームスとラウトリッジを欠き、マクバーニーのコンディションも整わず。ベンチ入り争いはなく、"プレーできる選手を詰めただけ"というギリギリの状態でした。
そして試合が始まると、なにやら奇妙な騒がしさが。ファンの怒りが向かう先は、ジェイソン・レヴィエンとスティーブ・カプランの両オーナー、そしてヒュー・ジェンキンス会長。
冬のマーケットが閉まったのは試合の2日前。スワンズはローンで、ウィルフリード・ボニー、ジェフェルソン・モンテーロ、トム・キャロルを放出します。問題だったのは、ダニエル・ジェームス、リロイ・フェルの移籍がほとんど決まりそうだったことと、当然のような補強ゼロ。
まだ道半ばだったとはいえ、昇格を望むファンにとって、主力の売却を許しかけたクラブの姿勢は受け入れ難いものでした。ジェンキンスへの抗議活動は以前から行われていましたが、ついに抑えきれないものとなり、いつにも増して悪化したのです。数人が暴徒化し、試合そっちのけでヒートアップ。
※ジェームスはジェンキンスのおかげで残留したとの情報も
近隣のアウェイという事もあり、大挙して乗り込んだスワンズファン。この状況下ではロビンズファンとの衝突は避けられず、試合後には逮捕者まで出ました。
試合は0-0で迎えた後半、あまりにも軽い2失点によって、スワンズは7試合ぶりの敗戦。終盤はポゼッションさえ上手くいかず、スコア以上に重い空気が流れていました。クラブの現状をそのまま表すかのような、チグハグなパフォーマンスでした。
そしてその2日後、ジェンキンスはクラブを去ります。代役となったトレバー・バーチの話はまたいつか…。
実はこの日以降、スワンズの勝率は56%。皆さんもご存知の通り、クラブは着実に良い方向へと進んでいます。会長の交代に、功労者の積極登用。スタッフ陣の総入れ替えも今のところ成功です。さらに、アカデミー卒の選手が2部クラブとしては破格の金額を残して去り、財政状況も好転してきました。
一時代の終わりを確実なものにした2月2日のアシュトン・ゲートこそ、いまを創ったターニングポイント。約半年ぶりとなる来訪で、生まれ変わったスワンズは何を示してくれるのでしょうか。