うぉんのスうぉんジー日記

スウォンジーな日常をつらつらと。

スワンズの歴史はサポーターとともにある

 

スワンズにとって、サポーターの存在は特別なものです。

それは単に「いつも背中を押してくれる存在」には留まりません。消滅の危機を共に乗り越え、クラブを支えてきた歴史があるからです。

 

 

 

【記事を読む前に】

今回取り上げているのは2001年の話。現地の記事10個以上を翻訳しながらなんとか(うっすらと)理解して書いております。そのため、もしかすると誤訳が混ざっていたり、重要なポイントを見落としているかもしれません。というか、多分見落としてます。個人的にもこの件を深く知りたいので、お知らせいただけますと幸いです。

 

 

 

クラブ消滅の危機

2001年。各クラブがプレミアリーグ昇格を夢見て、過剰な支出でクラブを経営していた時代にスワンズは3部に降格。財政難からクラブ消滅の危機を迎えていました。

当時所有していたNinth Floorの会長Alan Wixによれば、彼らはスウォンジーの事業で£50000の損失を出したそうで、「収益が出ないから手放すね!」と決断。2001年7月に最高責任者のMike Lewisへクラブを売却します。

多額の借金返済に追われるMike Lewisには策がありません。とりあえず不振の指揮官を入れ替えたりするのですが、クラブ買収の申し出はなかなか届きませんでした。

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Mike Lewis http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/teams/s/swansea_city/932431.stm

ドラスティックな救済者

という中でオーストラリアから1本の電話が入ります。声の主はTony Pettyという男。Lewisはたった£1で経営権を譲ります。この判断についてLewisは、Pettyからしかお願いされなかったから仕方なかったんだと後に釈明します。

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Tony Petty https://www.walesonline.co.uk/sport/football/football-news/tony-petty-macclesfield-defeat-showed-7730738

というのもPettyは、スウォンジーに来るとすぐに残忍な改革を実行します。本拠地であったベッチ・フィールドのスタッフを解雇した後、選手7人の解雇とスタッフ2名の大幅な減給を試みました。彼の目的の一部は、オーストラリア人選手を安価で輸入し、高く売ることだったと言われています。

就任から1週間後にはベストプレーヤーのスチュアート・ロバーツを£100000で売却。そのほかの選手にも減給や給与の払い遅れを伝えたあと、オーストラリアへと帰っていきました。

「クラブを取り戻せるかもしれない」とサポーターに説明したうえでPettyを就任させたLewis。サポーターは彼の言葉を信じるにも、その実態は発言とあまりにもかけ離れていました。

なお、このドラスティックなPettyの就任は、Lewisの独断によって決定されていました。

立ち上がったサポーター

クラブ消滅の危機を迎えていたクラブを何とかしようと、立ち上がったのがスワンズのサポーター。Pettyが来る前の2001年7月、「どうやったら消滅からクラブを守れるか」をテーマにサポーターの会合が開かれました。

結論は「クラブの経営に参入し、重要な意思決定に対する発言権を持つことでスワンズの衰退を抑えること」。そうした流れで政府の支援を受けて誕生したのが、サポーターズトラストです。

立ち上げイベントは2001年の8月に行われ、この時点で600人がグループの一員になるサインをしました。この後も会員数は徐々に増えていきます。(いまは1万人を超えていますね)

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サポーターズトラスト http://www.swanseamuseum.co.uk/whats-on/past-exhibitions/swans-100-exhibition/the-21st-century

レジェンドの思い

さあ、Pettyに話を戻しましょう。財政再建のために彼が実行したいわゆる"リストラ"と、クラブへの思いが感じられない行動に、サポーターは大々的な抗議活動を行います。(Lewisは家から出られなかったと)

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https://inthemixersite.wordpress.com/2016/03/23/swansea-city-the-team-that-never-should-have-made-it/

サポーターの思いが実ったのは、2002年2月。Pettyが就任した時には役員だった元選手Mel Nurseがクラブを離れて設立した「The Mel Nurse Consortium」が「サポーターズトラスト」のバックアップを受け、£1で購入したPettyから£20,000で買収することに成功します。

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Mel Nurse https://www.swansea.ac.uk/graduation/honoraryawards/honoraryawardsarchive/honoraryawards2015/melnurse/

これを機にサポーターズトラストは20%の株を所有することに成功。その後はクラブとサポーターが一体となってスワンズを支え、2011年には念願のプレミアリーグ昇格を達成するのです。

同じ過ちは繰り返さない

いかがだったでしょうか。

私は英語力に乏しいので、この件の詳細までは理解しきれていません。しかし大事なのは文脈で、スワンズはサポーターが中心となってクラブの立て直しを行い、現在も21%の株を所持して意思決定に深くかかわっているということです。このクラブにおけるサポーターの位置づけが分かるかと思います。

いまのスワンズはというと、毎日のようにアメリカ人オーナーへの「OUT」が叫ばれています。投資を行わない、就任以降チームは下降の一途、アメリカ人監督を連れてきて速攻で解任するなど、不満の原因の"一部"は、数々の失敗に起因しています。

しかし最も大きな原因は2016年に彼らが就任する際、サポーターズトラストへの説明がなかったことを始めとする、ファンとクラブの距離感が遠ざかっていること。この問題はいまだ解決しておらず法的措置も検討されるなど、かなり根深いものになっています。

降格という結果だけではなく、こうしたプロセスを通じてサポーターは不満を募らせています。両者が一体となって作り上げてきたクラブだからこそ、ピッチ上の"SwanseaWay"に留まらない、アイデンティティを継承をしていかなければなりません。